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酔眼教師の乱雑日記

「間」

 
「間」


 本当は門の中に日ではなく月を書き、閉じた扉の隙間から月光が見えるのは、二枚の扉の間に隙間があることによることから生まれた字であるらしい。隙間がなければ、門は開かないのである。大切なのは「間」である。
現代の「間」という漢字は俗字であろう。
 最近、「間」にこだわりだした。歳を取ったのかもしれない。時と時、人と人との「間」のあり方が気になりだしたのである。
 よく「夫婦は空気のようなもの」と言われるが、これは「間」を意識しないでよくなった人の間のことを表しているのであろう。しかし、私たちは多くの人々との「間」の中で生かされているのであり、そのすべてに、夫婦のような「間」をつくることは難しい。
 昨年はまさしく未曾有な阪神大震災を罹災し、様々な人々の「間」を体験し、どの様な「間」が望ましいかを考えている折に、茶道裏千家の第十回青年部全国大会が開催され、お家元の講話を拝聴する機会を得た。
 その中で、雑宝蔵経の「無財の七施」のお話があった。七施とは
 
和顔悦色施(微笑み)」
 「言辞施(やさしいことば)」
 「心施(おもいやりの心)」
 「眼施(やさしいまなざし)」
 「身施(やさしい身のこなし)」
 「牀座施(場所をゆずりあい、周囲の空気を和らげる)」
 「房舎施(一宿一飯を与える)」

である。
 二期生の諸君はゼミナールの場では美しい「間」をつくってくれました。担当教官として、全員に感謝しています。
 しかし、明日からは、全く新しい世界に飛翔し、いままで経験したことのない、人と人の「間」を造っていくことになります。是非、「無財の七施」を心に留めて、素晴らしい「間」を持ってもらい、成長してほしいと思います。
 どのような人でも、心掛けによって、「無財の七施」を実行することができるし、その行為によって、周囲の人々の心を、ひいては世間全体を明るくすることができるのであり、人々とのすばらしい「間」を形成することができるのである。
 すばらしい「間」を作りえるひとこそ、「人」ではなく「人間」なのです。
思いやりに満ちあふれた「人間」によって形成される社会をめざし、日々精進したいものである。



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